
Executive interview 変化できるものだけが生き残る 後編
ファイナンスやIRの領域は専門性が高く、一般の社員にはどのような活動をしているのか実態が見えづらいもの。
人材の多様化や労働力不足が進むいま、企業に求められているのは「人材を管理する」から人材の力を引き出す「人的資本」への本格的な転換です。
チームスピリットではこのニーズに応えるべく、2025年4月11日、TeamSpirit タレントマネジメントのリリースが発表されました。TeamSpiritの勤怠・工数機能との統合や、Salesforceプラットフォームによるセキュリティと利便性は、多くのお客さまから注目を集めています。
TeamSpirit タレントマネジメント事業開発を推進してきたTeam Success Platform統括本部 統括本部長である白須さんと、タレントマネジメント事業開発推進室室長の福島さんに、立ち上げの意図や強み、今後のビジョンなどについてお話を伺いました。
Team Success Platform事業統括本部 統括本部長
Team Success Platform事業統括本部 タレントマネジメント事業開発推進室 室長
まずは、タレントマネジメント事業を立ち上げた背景を教えていただけますか?
私たちはこれまで、勤怠管理や工数管理機能を通じて人事労務部門向けのソリューションを展開していますが、さらに事業領域を広げ、お客さまに提供できる価値を拡大したいという思いがありました。特に、私たちのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)にある「個を強く、チームを強く」を実現していく上で、働く人の能力をいかに高められるかが重要だと考えています。
これまで注力してきた業務の効率化に加えて、教育や評価といった分野にもしっかり取り組み、育成を通じて生産性をあげていく必要があります。そのため、タレントマネジメントにアプローチしていくのは、自然な流れでした。
勤怠管理や工数管理の延長線上にある取り組みなんですね。
そうです。
特に既存のお客さまに対しては、これまで対応していなかった業務領域を広げていくことで、TeamSpiritのプラットフォームが、日々使われる勤怠管理だけでなく、タレントマネジメントの領域でも価値を発揮できると考えています。
ありがとうございます。
昨今、タレントマネジメントシステムが一般化してきていますが、TeamSpirit タレントマネジメントにはどのような特長があるのでしょうか。
大きな特長の一つは、Salesforceの拡張性を活かしている点です。私たちがこれまで開発してきた勤怠や工数、あるいは営業のSFAなどと同じプラットフォーム上でそのまま活用できます。
わざわざ別のシステムにログインする必要がなく、普段使っている業務の延長線上でタレントマネジメント機能を使えるのが強みです。
レポートやダッシュボードの作成もSalesforceの標準機能で対応できるので、ユーザー側のカスタマイズ性も高いんですよ。
営業の実績レポートなどを作るのと同じ方法でタレントマネジメントのレポートも簡単に作成できるので、分析して業務に活用することができます。さらに、Salesforce上の実績データを連携させて業務評価を行うことも可能です。
確かに、人事評価をする際には、必ず根拠となる実績ベースのデータが必要になりますよね。
単に人事のためのシステムというよりは、経営や現場の意思決定にもつながる「ビジネスに効く」データを提供できるのが理想だと考えています。
例えば、製造業であればスキル情報をもとに人材配置を最適化するなど、業界ごとの課題に応じた提案も進めています。
この事業を進める上で、特に意識している視点について教えてください。
私たちが重視しているのは、タレントマネジメントを日常業務の中に自然に組み込むことです。
評価のタイミングは、どこの会社もせいぜい年1、2回くらいですよね。評価のタイミングだけではなく、日々の業務の中で、メンバーのスキルや育成状況、実績に触れる機会があることで、より納得感のある評価や育成が実現できるわけです。
また、プロジェクトアサイン状況や工数、実績といった情報を一元管理することで、データに基づいた根拠ある人材配置や育成計画が立てられるようになります。年に数回の評価のためのタレントマネジメントから、現場のマネージャーや管理職が日常的に利用し、効果を実感できる環境を定着させていくことが理想です。
お客さまの話を聞いていても、人事では使用しているけど現場ではあまり使用されていないですね。
また、人事は使用していてもビジネスまでには昇華できていない。事業成長をさせるためにも、現場での意思決定ができる仕組みづくりが重要だと考えています。
実際に導入を進めているお客さまや、検討段階の企業からはどのような反響がありますか?
すでにTeamSpiritをご利用いただいているお客さまからは、「打刻画面に目標や評価の項目が表示されているのが良い」という声をいただいています。
出勤・退勤時にはTeamSpiritの画面を必ず見るので、タレントマネジメントにも自然と触れ、目標管理や自己評価の意識が日常的に持てるようになるんです。
目標が毎日目に入ったら、業務の取り組み方の意識はかなり変わりそうですね。
そうですね。
また、TeamSpiritプロジェクト原価管理をご利用中のお客さまからは、「プロジェクトのアサイン情報や実績を評価に活かしたい」というニーズが多く聞かれます。
従来はそれぞれのシステムで分断されていた情報が、同じTeamSpiritの中で完結できることに価値を感じていただいています。
現在、タレントマネジメント事業を推進する中で、難しい点や課題と感じている点があれば教えてください。
勤怠管理という大きな中核プロダクトがある中で、マルチプロダクト化は新たな挑戦です。プロダクトの位置づけや提案方法、デモの設計などすべてが手探りで、まさしく生みの苦しみがありますね。
これまで勤怠領域を専門としてきた我々が、人事全般の課題にどうやって向き合っていくのか。関わっていくすべての本部に、より広範な視点での会話や提案が求められます。
また、勤怠管理は労働基準法や就業規則など、ある程度の“正解”があるのに対して、タレントマネジメントは正解がない世界なんです。100社あれば100通りの活用法があり得ます。そのため、お客さまの課題やニーズをどうヒアリングし、どんな形で価値を提供するかという絵を描く力が求められます。
タレントマネジメント領域ではすでに先行している企業が多くありますし、そういった意味でも認知や差別化の部分で非常に頭を悩ませますね。
スピード重視で進めている分、仕組みが整っていない側面もあり、模索しながら構築しています。
これまでの勤怠領域で培った知見とはまったく違う、自由度が高いゆえの標準化された「型」がないという難しさがあるんですね。
それでは最後に、今後のタレントマネジメント事業の展望やビジョンをお聞かせください。
今後は、特定の業種・職種に特化した「バーティカルなシナリオ」を強化していきたいと考えています。
それぞれの業界や事業領域の現場で実際に役立つような事例や活用シナリオを、より具体的に提案していきたいですね。また、Salesforceとの協業もさらに深めていく予定です。
機能面では、新たに「イネーブルメント」機能を開発中です。
これは、社員が覚えるべきことややるべきことを定型化し、学習の進捗を可視化できる機能です。AIによってコンテンツを常に最新状態に保ち、知識の継続的なキャッチアップをサポートします。
イネーブルメントとは、社員の育成を支援する仕組みのことですね。
そうです。新卒入社であればビジネスマナーから始まり基礎的な話から入るなど、育成プログラムを用意している企業は多いですよね。
しかし、特に中途入社の方は即戦力としてすぐに活躍することを求められるので、会社の文化や業務知識を自力でキャッチアップしなければならないケースが多く、現場の教え方に依存して属人化しやすい。人材の流動性が高まる中で、早期離職を防ぐためにも、仕組みとして「学び続けられる環境」を提供することが不可欠だと考えています。
学習や育成を個人の努力に任せるのではなく、タレントマネジメントを活用して組織として支援できるということですね。
白須さん、福島さん、お忙しい中ありがとうございました!
ファイナンスやIRの領域は専門性が高く、一般の社員にはどのような活動をしているのか実態が見えづらいもの。
チームスピリットを支えるトップリーダーたち。 CFOである高橋亮さんが2024年10月にチームスピリットに入社したニュースは、プレスリリースとして配信され、人事ニュースとして各メディアでも注目を集めました。
2024年6月に正式リリースしたAI議事録ソリューション「Synclog」。 サービスローンチ以降、多くのお客さまから反響をいただき、着実に導入企業が増加しています。 この新サービスを企画し、立ち上げた中心メンバーの皆さんに、プロジェクトの経緯やこれまでの苦労などを赤裸々に語っていただきました!