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「5人5通りで正解はない」プロダクトオペレーション本部が実践する、個性を活かすチームビルディング(後編)

「5人5通りで正解はない」プロダクトオペレーション本部が実践する、個性を活かすチームビルディング(後編)

前編では、チームビルディングにおいて大事にしている信頼関係構築のコツと、リーダーたちの個性をまとめてお届けしました。後編では属人化や個人の気合いに頼らない基盤としての仕組みとリーダーたちの取り組みをお届けします。

仕組みで個性を解放する──プロダクトオペレーション本部が実践する「型」のマネジメント

前編では、手島本部長がチームビルディングにおいて大事にしている信頼関係構築のコツと、インタビューからひも解いたリーダーたちの個性をまとめてお届けしました。
前編を読まれた方の中には、「5人5通りのやり方をそれぞれが追求すると、チーム間での成果や安定性がリーダー頼りになってしまうことはないのだろうか」という疑問も浮かびます。しかし、プロダクトオペレーション本部(以下、PO本部)でそれぞれの個性が活きている背景には、属人化や個人の気合いに頼らない「仕組み(型)」の存在があります。では、なぜ「仕組み」を重視するのか、手島本部長にその理由を伺いました。

PO本部が徹底する「5つの必須ルール」

組織運営のベースとして、PO本部の全ユニットに対し以下の実施を必須としています。

・毎日の朝会
・朝会での「ダッシュボード」を用いた実績確認
・毎月の振り返り会の実施
・振り返り会での「ダッシュボード実績確認」および「MBO進捗確認」
・ユニットリーダーによる1on1の実施


このサイクルを回すことは単なるルールの押し付けではなく、チーム全体を健全に保つための重要な仕組みです。この「型」を用意することで、具体的に次のようなメリットが生まれます。

この仕組みが生み出す3つのメリット

1. 悩む時間を「最長でも1日」に抑える

毎日の朝会を機能させる最大の目的は、課題の早期発見です。メンバーが業務上の問題や悩みを個人的に抱え込んでしまったとしても、翌日の朝会で必ず共有されるため、滞留する時間は「最長でも1日」になります。スピーディなフォローアップが可能になり、心理的な負担も軽減されます。

2. 客観的データによる「感情的な評価」の排除

朝会などの場で、常にダッシュボードを用いて実績を可視化・確認しています。これにより、リーダーの主観やその時の感情に依存した評価が入り込む余地がなくなり、常にファクト(データ)に基づいたフェアなコミュニケーションが実現します。

3. 定期的なすり合わせで「期末評価のズレ」をなくす

月次の振り返り会において、MBO(目標管理)の進捗確認を必ず行います。「目標に対して実行できているか」「目標と現状に乖離はないか」を毎月細かく確認することで、期末評価のタイミングになって「マネージャーとメンバー間で評価が全く違う」といった悲劇を未然に防ぐことができます。

4人のリーダーたちが実践している「チームの取り組み」

続いて、4人のリーダーたちが実践している「チームの取り組み」と、その裏にある等身大の想いに迫ります。

具体的なお話に入る前に、まずは4人の取り組みの全体像をのぞいてみましょう。それぞれのリーダーがこだわりを持って運用している取り組みと、そこから生まれるメンバーへの関わり方を、少しだけ先にご紹介します。

萩原さん}

萩原さん

プロダクトオペレーション本部
エンジニアリング部 部長

取り組み例:
タイムボックス
メンバーへの関わり方:
無理をさせず、余白を作る

礒野さん}

礒野さん

プロダクトオペレーション本部
カスタマーサポートユニット
ユニットリーダー

取り組み例:
可視化
メンバーへの関わり方:
属人化を手放し、チーム全体で前に進む

小林さん}

小林さん

プロダクトオペレーション本部
テクニカルサポートユニット1
(Team Success Platform向け)
ユニットリーダー

取り組み例:
私のトリセツ(取扱説明書)・Nintendo Switch
メンバーへの関わり方:
お互いを知り、相手との壁をなくす

藤田さん}

藤田さん

プロダクトオペレーション本部
テクニカルサポートユニット2
(エンタープライズ向け)
ユニットリーダー

取り組み例:
1on1・陽口ワーク
メンバーへの関わり方:
信頼して任せ、お互いの良いところを認め合う

萩原さん ── 【タイムボックス】

「着実な成果とゆとりを生み出す」計画したタスクに集中するための仕組み

最初にご紹介するのは、開発組織を率いる萩原さん。萩原さんのチームではタイムボックスを導入し、1週間サイクルで作業を計画して日々の業務を進めています。タイムボックスは、あらかじめ一定の作業期間を区切ってその中で決められたタスクを完了させるというシンプルな管理手法ですが、これは、萩原さんがリーダーになったばかりの頃の試行錯誤の中で取り入れることにしたのだそうです。

プロダクトオペレーション本部 エンジニリング部 部長 萩原さん

プロダクトオペレーション本部 エンジニリング部 部長 萩原さん

リーダーになった当初は私自身もバリバリ開発していましたので、とにかくお客さまから求められているものをスピーディーにリリースしたいと考えていました。ですが、チームの担当領域が広がり、複数のアプリなどを並行で開発する機会も増えてくると、次第にそれも難しくなっていきました。全く別の開発を並行して行うと頭の切り替えも大変ですし、どうしても作業効率が低下してしまいます。そんな状況でスケジュールにタスクを詰め込みすぎると、結局やりきれず、メンバーが『できなかった』という事実に落ち込んでモチベーションを下げてしまうリスクも高まります。これではいけないと、開発のサイクルを『1週間』というスパンで区切り、あらかじめ計画したタスクだけにメンバーが集中できるようにすることを目指しました。

タイムボックスを運用する上では、突発的な割り込み作業を最小限に抑え、プランニング自体もメンバー自身が無理しすぎずこなせる量をアサインすることを心がけているそうです。そこには、計画に対して着実に成果を上げられるようにすることともう一つ、チームメンバーのスケジュールに余白を作るという萩原さんの狙いがありました。

計画通りに作業を進められるようになると心にもゆとりが出てきて、目先のタスク以外にも色々なことに目が向くようになります。メンバーから『ここをもっと改善できるんじゃないか』といった前向きで建設的なアイデアが出てくることも増えました。逆に忙しすぎると、みんな自分のタスクを終わらせることに精一杯になって、周囲とのコミュニケーションがおろそかになってしまいますね。

さらに、目先のスピードだけを求めれば「得意な人がその業務をずっと担当する」方が効率的に思える少人数の現場において、あえてチームで協力し合える機会をもっと増やしていきたいと言います。

私たちのチームはまだ人数がそれほど多くないため、効率だけを重視すると、どうしてもメンバーそれぞれが別々の担当作業を持つ『個人の集合体』になりがちです。でもそればかりではチームである意味が薄れてしまいますし、特定の業務が一人だけで完結するブラックボックスも生まれてしまいます。だからこそ、あえて作業をローテーションしたり協働する機会を増やすことで、お互いをカバーし合い、チーム全員でひとつのモノを作り上げる喜びを共有できるようにしていきたいと考えています。

個人のタスクに追われがちな開発現場だからこそ、タイムボックスという仕組みであえて余白を作り協働を促す萩原さん。この仕組みが生み出す心のゆとりが、メンバーの自発的な姿勢を引き出し、互いをカバーし合えるチームの土台となっています。

礒野さん ── 【可視化】

「事前に数字を握り、納得感の醸成をする」属人化を手放し、チーム全体で前に進む

続いては、カスタマーサポートユニットをまとめる礒野さん。彼女のチームの基盤にあるのは、徹底した「可視化」です。
PO本部の目標管理シート(MBO)には、「属人化をなくす」というテーマが明確な目標として掲げられています。

プロダクトオペレーション本部 カスタマーサポートユニット ユニットリーダー 礒野さん

プロダクトオペレーション本部 カスタマーサポートユニット ユニットリーダー 礒野さん

『この業務はあの人しか分からない』という状態をなくすため、MBOの目標に『属人化解消』を据えました。具体的には、Aさんの目標を『Bさんにメール配信業務を教える』、Bさんの目標を『メール配信業務を一人でできるようになる』といったように、メンバー間で連動した目標を立てています。

このような目標を全員が最低1つは持つことで、『一緒に達成しよう』という連帯感が生まれ、自分が足を引っ張らないようにと各自が自律して進めるようになります。属人化の解消はもちろん、教える側の教育スキルの向上や、チームで協力し合う空気感の醸成にも繋がっています。『自分で手を動かす』『教える』の双方を経験することで、『誰かの負荷が高すぎるのでは』『自分だけ役に立てていないかも』といった不安が消え、自然と助け合える状況を作ることができました。

目標設定のプロセスや日々の進捗確認にも、礒野さんならではの工夫があります。

MBOを設定する際は、あらかじめ『誰が、何を、どれくらいやるか』をしっかり握るようにしています。メンバー全員の目標を並べて、みんなに確認してもらった上で決めることで、不公平感ができるだけ軽減されるようにしています。変な迷いがなくなり、『あとはやるのみ』という状態に持っていきます。

どうしても予期せぬトラブルなど、想定外の業務が割り込むこともありますが、最初に目標が決まっていると踏ん張りやすいです。逆に余裕があって目標を超えられたら、『それはそれで評価されるからラッキー』とポジティブに捉えることができます。

設定した目標の達成状況は、毎朝15分の朝会にてダッシュボードで進捗確認できるようにしています。リアルタイムなタスク量を全員で共有し、誰かのキャパシティが限界に達しそうなら、その場で業務を再配分していくそうです。事前にメンバー同士で数字を握り、協力して達成できる体制を作っているからこそ、チーム全体で前を向いて進むことができています。このやり方は、手島本部長のマネジメント哲学とも深く共鳴しています。

プロダクトオペレーション本部 本部長 手島さん

プロダクトオペレーション本部 本部長 手島さん

『もっと頑張ろう』と感情に訴えかけるのではなく、データという客観的な結果を見て対話ができる。だから、指示する側も受ける側も、お互いに無駄なストレスがないんです。

人と人の間に「数字」という客観的な事実が介在してくれるからこそ、誰かを責めることなくフラットに向き合える。可視化という仕組みは、業務の効率化だけでなく、働くメンバーの心を優しく守るための盾でもあるのだと気づかされます。

小林さん ── 【私のトリセツ(取扱説明書)・Nintendo Switch】

「お互いを知ると仕事もやりやすくなる」自己開示の取り組み

3人目は、ユニークな取り組みでチーム内に豊かな対話の場を生み出している小林さん。ユニットリーダーを務める藤田さんも「小林さんは新しいアイデアをどんどん持ってきてくれます。」と笑顔で語ります。
そんな小林さんがチームに導入した取り組みの一つが、自身のキャラクターや仕事のスタンスを共有する「私のトリセツ(取扱説明書)」(以下、「私のトリセツ」)です。

プロダクトオペレーション本部 テクニカルサポートユニット1 ユニットリーダー 小林さん

プロダクトオペレーション本部 テクニカルサポートユニット1 ユニットリーダー 小林さん

上長など採用に関わった方は、各メンバーについて面接時に話を伺っていますが、メンバー同士はお互いのバックグラウンドや人となりを知りません。そこからいきなり実務のやりとりが始まると、戸惑うこともあると思うんですよね。この心理的なハードルを下げて、誰もが自然に自己開示できるきっかけを作ってみました。

この「私のトリセツ」は、PO本部の他のユニットにも取り入れられたそうです。また、小林さんの面白いところは、組織変更に伴うメンバーの変遷に合わせて、トリセツのフォーマットを柔軟にアップデートし続けている点です。

毎度同じ内容を聞くのもつまらないなと思って、例えば文面で書いていた『趣味・好きなこと』を『私を構成しているもの』という円グラフに変えてみたんです。すると、それぞれの個性豊かなグラフが出来上がって、お互いたくさんのリアクションや会話につながりました。

さらに小林さんのチームでは、お昼休みにNintendo Switchを使い、チームの垣根を越えてゲームで盛り上がることもあるのだそうです。

普段の業務でも関わりが深く、連携が不可欠なチーム同士です。ゲームはあくまでもきっかけの一つで、そこからうまれた会話や活気から、その後の業務上のやり取りをスムーズにしてくれていると思っています。

上から押し付けるのではなく、楽しみながらみんなで仕事に取り組める姿勢をつくる。この、人を巻き込む工夫こそが小林さん流のチームビルディングです。

藤田さん ── 【1on1・陽口(ひなたぐち)ワーク】

「面と向かってだと、ちょっと照れちゃうから」心理的距離を縮め、それぞれの強みを引き出す取り組み

最後にご紹介するのは、エンタープライズ(大企業)向けのテクニカルサポートを担当する藤田さん。ここまでタイムボックスや可視化、私のトリセツといった各チームの取り組みを見てきましたが、藤田さんのチームではチームの絆を深めるコミュニケーションに取り組んでいます。その一つが、月に1回、20〜30分ほど実施している1on1です。

プロダクトオペレーション本部 テクニカルサポートユニット2 ユニットリーダー 藤田さん

プロダクトオペレーション本部 テクニカルサポートユニット2 ユニットリーダー 藤田さん

1on1では業務の話はそこそこに、家族や趣味のこと、日常の話題など、とにかく相手の人となり、モチベーションの波や小さな変化に気づくための雑談を大切にしています。私自身、業務に関して細かく口を出されると窮屈に感じてしまうタイプなので…メンバーに対しては任せると決めたら信頼して任せる。その代わり、「困ったときはいつでも相談してもらえる」ような、土台となる関係性を作れるように心がけています。

実はこの雑談中心のスタイルは、手島本部長や他の先輩方のスタイルを参考にしているようで、藤田さんも「周りの方にやってもらって嬉しかったことを、そのままメンバーに還元しているだけなんです」と語ってくれました。
そして、この強固な信頼関係をベースに、もう一つ取り入れている取り組みが「陽口(ひなたぐち)ワーク」です。

『陰口』の反対で、メンバーの1人がカメラとマイクをオフにしている間に、残された仲間たちでその人の良いところを思う存分褒めちぎる、というワークです(笑)。面と向かって言うのは少し照れくさいようなことでも、仲間と一緒ならゲーム感覚でどんどん『良いところ探し』ができますし、褒められることでメンバーの自信にも繋がります。オンラインで事前準備もいらず、すぐに実施できるので、他のチームにもおすすめしたいチームビルディングワークです!

ただ個人の気合いに頼るのではなく、1on1や陽口ワークという「型」に落とし込むことで、誰もが孤立せず、お互いをリスペクトし合える。藤田さんのチームを支えているのは、そんな優しさが仕組み化された温かい「場」でした。

おわりに

PO本部が実践する共通のマネジメントの「型」と、タイムボックスや可視化という仕組みから私のトリセツや陽口ワークまで、5人のリーダーたちの試行錯誤が詰まった仕組みや取り組みの根っこには「無理をさせない」「フラットに関わる」「人に興味を持つ」という、メンバーへのマネジメント姿勢があります。

「5人5通りで正解はない」からこそ、組織としての型(仕組み)でそれぞれの個性を守り、メンバーが安心して力を発揮できるようにする。リーダーたちが日々丁寧に取り組むことで心理的安全性や信頼関係が保たれ、チームへの信頼や愛着が育まれていきます。

座談会の終盤、PO本部の空気感を象徴するような言葉を、藤田さんが振り返ってくれました。

入社してから、PO本部っていいチームだなと感じる場面がいくつもありました。このチームに所属できてよかったなと思います。

チームづくりに、たったひとつの絶対的な正解はありません。マネジメントに正解がないからこそ、悩み、試行錯誤を繰り返します。
今回ご紹介したPO本部のリアルな舞台裏や5人の挑戦の中に、みなさんの「明日のチームづくり」を少し前進させるヒントが、ひとつでも見つかれば幸いです。

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